迷走

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「茅原君、ちょっといいかね」 「?…はい」 四時間目が終了し、昼休みになる。 教科書やノートを整理していれば、先生に呼ばれた。促されるまま準備室に入ると、いきなり段ボール箱を渡された。 「それを資材室まで運んでくれないか。…昼休みに会議が入っていてね。ひとつ頼むよ」 先生が俺をパシリ扱いするのも、現状打破出来ない理由の一つだ。 「……わかりました」 NOと言える人間になりたい。 それでも良い生徒になれば、悪い生徒のとして落とされるのは早いし、容易い。 打開策もない今、ヘタに断れば悪者になるのはどう転んだとしても俺の方。 結局の所、同じことの繰り返しだ。 「よ…っと」 段ボールを抱えて教室を出る。 資材室は三階にあるから階段を上がらなきゃならない。…考えるだけで気が重くなる。 「あれ、茅原くん?」 声に振り返れば、一年生で担任だった早水傑(ハヤミ スグル)先生がいた。
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