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「竜王さま~!ご武運を~!!」
「ルイ様~!!俺達も後から必ず参りますからね~!!」
地上に残った竜族達の上空を、風を掴むようにゆっくりと旋回する竜王…ルイを、ドラゴン達は思い思いの言葉をかけながら見送っていた。
ルイは、皆に応えるように口から空へと炎を吐き出すと、力強く羽ばたき岩山を後にした。
「っはぁ~、“竜王さまモード”はどうも堅苦しくて疲れるぜ」
血の海の上を悠々と飛ぶ竜王ルイは、肩でも解すようにグルグルと前脚を回す。
先程竜族の前で、出発前の演説をしていた時と違い、今の彼はどこか気の抜けた喋り方をしている。おそらくこれが本来の彼なのだ。
「しっかし、前も思ったけど…魔王城って遠いなぁ」
仲間達のもとを離れたルイは、魔王の居る魔王城へと向かっていた。
それもこれも、魔王が突然「竜族の願い、叶えてやろう」と言い出したからだ。
ルイの住む岩山から魔王城までは、広い海とその先の大陸を越えなければ辿り着けない。
ルイのような魔界では大型に分類されるドラゴンの翼を持ってしても、半日はかかってしまう距離だ。
「“魔王陛下に忠誠を”…か。確かに、感謝しなきゃだよな」
つい先日、魔界中の実力者を集めて行われた魔王主催のパーティーで、初めて謁見した魔王の姿を思い出し、ルイはニンマリと眼と大きな口を笑みに歪める。
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