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魔王は、竜王から見れば一見とてもちっぽけな姿をしている。
2mにも及ばない身長に、それぞれ2本しかない手足。尻尾も無ければツノもない。背中にある翼も竜王からしたらとても小さく頼りなく見える。
所謂、人型というものなのだろう。
だが、その艶やかな漆黒の長い髪に、透き通る白い肌は、硬い鱗に覆われた体を持つ竜王から見れば、とても艶かしく美しく見えた。
そして、何よりも印象的だったのが、、、
(あの瞳!獲物にかぶりついた瞬間に飛び出す血のようだった!実に美味そうな色だった!)
竜王はゴクリと喉を鳴らすと、自慢の大きな翼に力を込める。
グッとスピードを上げた移動速度に、空気が大きな音を立てて切り裂かれていく。
「・・・そういえば、魔王からの条件ってなんなんだろう?」
人間界でいうマッハの速度で飛行しながら、竜王は思い出したように物思いに耽る。
竜王が通過した場所では、木々がなぎ倒され、湖などは津波を起こし周囲の街を壊し、一般的な魔物達は吹き飛ばされていた。
酷い有様だが、竜王にとってはいつものことなので全く気にならないようだ。
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