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再び声をかけられ、戸惑いながらもゆっくりと玉座に近づく。
だが、魔王は一瞬眉を顰めると更に手招きした。もっとそばに来いと言うことだ。
『で、では、失礼を・・・』
玉座に更に近づくには、4段ほど階段のような段を登らなければならない。
ルイは訳がわからないまま一段一段恐る恐る登り、魔王に手が届く距離にまで近づいた。
『・・・・』
『・・・・』
手招きに従い近付いたはいいが近付いた途端、魔王はルイの頭の先から足の先までをジーっと見つめるだけで何も話さない。
ルイはルイで、訳がわからないがとりあえず長老の教え通りに、視線を合わさないよう意味もなく玉座に着いた飾りに視線を落としていた。
(なんで俺?俺何かしたか?というか、なんで魔王も周りも何も言わないんだ?なんで?)
一見、竜王の名に恥じぬように冷静さを装っていたが、内心は混乱に混乱していた。
チラリと玉座のそばに控える魔王の側近達や、パーティに呼ばれた古参の長達を盗見ても誰も驚いたり慌てたりもしていない。
それどころか、まったく誰も此方を見ても気にもしていない。
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