一章 北の街で

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「う~ 痛ちちち…」 その女の子は頭をさすりながら ようやく布団から起き上がった 「また・・・あの夢だ・・・」 彼女がその夢を見るのは初めてではなかった しかし 彼女にはその夢が何を意味するのかはわからなかった 実体験なのか 架空の出来事なのか しかし右手には小さな火傷の跡もある 実際のところ 彼女には小さい頃の記憶があまり無い しかし彼女はさほど気にもしていなかった 周りの友達に聞いても ほとんどが小さい頃の記憶が曖昧だったからだ 成長すれば・・・記憶は曖昧になるもの そう信じて疑わなかった ・・・ どちらにしろ あまり良い夢ではない事は確かで 彼女は その夢を振り払うかのように  両手で髪の毛をくしゃくしゃっと引っ掻き回すと 「ふわっ あぁぁぁぁぁぁ~・・・」 大きなあくびと背伸びをした 「よしっ!!!学校!学校!」 気持ちを切り替えるように 彼女はベッドから飛び上がると ハンガーにかけてある制服を手に取り 着替え始めた 北海道 旭川の隣にある小さな街 そこの中学校に通う 中学3年生の少女の一日が始まった
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