一章 北の街で

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「行ってきま~す!」 紺のセーラー服に薄い白のパーカーを羽織り 背中には学校指定のショルダーバッグを背負い 蒼穹は学校へ一緒に行く友達との待ち合わせ場所へ急いだ 待ち合わせ時間はとうに過ぎていたため 蒼穹の歩はマジ走りである 「行ってらっしゃい」 「車に気をつけてね~!」 蒼穹の小さくなる背中を見ながら両親は声をかけた 蒼穹が見えなくなったあと 母親がおもむろに呟く 「大丈夫かしら…」 母親の言葉が車に対してなのかまたは別の何かに対してかは不明だが 父親は その意味を知っているらしく 「大丈夫だろう たかだか2~3日の滞在だし…」 そういうと 二人は再び蒼穹が走って行った方をしばらく見ていた
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