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あの日、私はいつもと何ら変わりない日常を送っていた。
そして、それが最後の日常だった。
全ては14時46分で失われた。
携帯から聞き慣れないアラームが鳴った。
それを確認しようと携帯に手を伸ばした瞬間、激しい揺れに襲われた。
家電や家具が倒れ、自分自身も立っているのがやっと、と言う状況だった。
そんな中、私は割と冷静であり、揺れがどの方向から来ているのかを観察していた。
そして、時代遅れの大きく重いブラウン管のテレビが縦に跳ね上がったのを見逃さなかった。
幼い頃、縦揺れで大きな地震が来たら大津波が来る、そう聞かされていた。
私はすぐに財布と携帯と車の鍵だけを持って、家を飛び出した。
沿岸部、しかも海からほど近い私の自宅は危険だと判断したからだ。
急ぎ避難するために車に乗り込んだ。
まるで、悪ふざけで誰かに揺すられているような車中。
恐怖と緊張が身体を駆け巡っていた。
しかし、それは本当の恐怖の入り口に過ぎなかった。
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