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足をアイシングしたあとはトレーニングルームへ。
「もう1セット……野村君……できる?」
数々のメニューが、一日目から野村の体を攻める。
トレーニングマシーンを使うことも多い。
「……もちろん!」
久々に汗を流しながら、野村は再びトレーニングに取りかかる。
背筋を鍛えるマシーンのトレーニングを最後に終えると、野村はその場に倒れこむ。
「はあ……はあ」
今の彼の目標は誰よりも体を作ること。
相馬の言うことは一理あった。
黒田と竹内の試合を観て思い出せるのは、二人とも筋肉をつけて、足、腕、腹筋、背筋全てが野村以上にあるということだ。
シングルスは技術以上に根本的な身体能力、力がそのまま差になりやすい。
怪我しようがしまいが、いずれ通った道。
だから怪我は関係無いのだ。
そう考えると野村は自然と開き直ることができた。
そしてシャトルを誰かと打つことはないが、その代わり木村からあることを命じられていた。
それはラケットとシャトルで遊ぶこと。
ポン
ポン
シャトルを細かく上げ続けたり、シャトルをラケットの上で転がすだけ。
その意味を深くは知らない野村だが、これまでの練習を振り返れば、これも意味が無いはずがない。
ちょっとした合間、寝る前。あらゆる場面で野村はこれをしていた。
これからしばらくの間、そのようなメニューが続いていくだろう。
彼が復帰できる頃には、もう冬になっているかもしれない。
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