野村仁 、10月

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足をアイシングしたあとはトレーニングルームへ。 「もう1セット……野村君……できる?」 数々のメニューが、一日目から野村の体を攻める。 トレーニングマシーンを使うことも多い。 「……もちろん!」 久々に汗を流しながら、野村は再びトレーニングに取りかかる。 背筋を鍛えるマシーンのトレーニングを最後に終えると、野村はその場に倒れこむ。 「はあ……はあ」 今の彼の目標は誰よりも体を作ること。 相馬の言うことは一理あった。 黒田と竹内の試合を観て思い出せるのは、二人とも筋肉をつけて、足、腕、腹筋、背筋全てが野村以上にあるということだ。 シングルスは技術以上に根本的な身体能力、力がそのまま差になりやすい。 怪我しようがしまいが、いずれ通った道。 だから怪我は関係無いのだ。 そう考えると野村は自然と開き直ることができた。 そしてシャトルを誰かと打つことはないが、その代わり木村からあることを命じられていた。 それはラケットとシャトルで遊ぶこと。 ポン ポン シャトルを細かく上げ続けたり、シャトルをラケットの上で転がすだけ。 その意味を深くは知らない野村だが、これまでの練習を振り返れば、これも意味が無いはずがない。 ちょっとした合間、寝る前。あらゆる場面で野村はこれをしていた。 これからしばらくの間、そのようなメニューが続いていくだろう。 彼が復帰できる頃には、もう冬になっているかもしれない。
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