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「…………」
もう夜も遅い。たが野村には今の時間がわからなかった。
「…………」
隣には木村がついていた。
念のためレントゲンを撮ったあと、二人でその結果を待っていた。
「野村」
「……はい」
「どうしてバドをした?」
木村が静かに言う。野村にとって、その質問に答えるのは心が痛い。
「捻挫はな、癖になりやすいんだ、バドにとって捻挫は天敵だ。ちゃんとリハビリをしなきゃいけない」
「……すいません」
謝るが、野村に木村の言葉はあまり届いていなかった。
足を怪我した現実が重くのしかかっていた。
更に彼の脳裏に過るのは、フォア奥へ飛び付いた時に右足を挫く感覚。
それを思い出す度に背筋に寒気がし、足に痛みが生じる。
この痛み……
恐怖感……
また元通りにバドができるのだろうかと思うほど、彼は今不安に押し潰されていた。
黒田や竹内がはるか遠くにいるようだ。
近づくどころか……離れていく。
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