華原 恭

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「ふわぁぁぁっ」 次の日、教室に入ると共にアクビが出た。 昨日も夜中まで勉強をしていたから。 「眠そうじゃん、恭」 後ろから声をかけられる。 誰の声かすぐわかった。 俺は振り返り 「おはよ、ヤス」 と声をかけた。 ヤスは微笑みながらおはよ、とつぶやいた。 ヤスとは俺の友達。 安田春樹(やすだ はるき)。 一番気が合う友達だった。 「神崎と一緒の時はキラキラしてたくせに」 俺の顔を見て、ヤスは笑う。 「は!?意味わかんねぇし」 登校してる時を見られていたのか。 俺と雛音は朝の登校は一緒にしていた。 帰宅はクラスが違うと別々なので一緒ではない。 「してたけどな。お前が否定するならいいけど」 ヤスはにやにやしている。 俺は雛音が好きと誰にも言っていない。 しかし態度でわかるのか、いろんな人にからかわれる。 雛音はにぶいので全然気づいていないが、変に雛音とギクシャクしたくないので周りには言わない。 「なら俺が神崎好きになろうかな」 「!?」 予想外な言葉に驚き、ヤスを見る。 ヤスは俺をみて吹き出した。 「わかりやすすぎる!!」 「ちよっ、だ、ヤス雛音と仲良くねぇじゃん」 ヤスと雛音は同じクラスになったことがない。 お互い存在を知っている。 そんな関係。 「冗談だよ!でもやっぱ好きなんだな」 「違うし!雛音は大切な幼馴染だから!」
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