43人が本棚に入れています
本棚に追加
「いや、この頃雛音と人生ゲームにはまっててさ」
苦し紛れに言い訳をした。
「人生ゲーム?なんだよそれ。嘘ならましな嘘つけよ」
ヤスは笑いながら席についた。
それ以上何も聞かなくて、ヤスのそういう所が好きだった。
空気を読むのが上手いというか、わかってくれる。
でもヤスにもいわなければいけない。
「なぁヤス」
ヤスの席へと向かう。
ヤスは教科書を机に入れている。
「なに?」
「あのさ….…俺……」
顔がこわばる。
言いたくないわけじゃない。
でも、口にすることによって自分は来年ヤスと一緒にいない、雛音と一緒にいないと認めなければならない。
自分できめたくせに、自分が一番認めたくない。
矛盾している。
「いいよ別に。言いたくないなら」
「いや、そういう訳じゃ…」
怒らせた?
焦った。
「言える時がきたら言って。それまで待っとくよ」
男らしすぎるヤスの言葉に笑った。
いいやつ。
こんないいやつがそばにいてくれるのが不思議だった。
俺は出来損ないだから。
最初のコメントを投稿しよう!