華原 恭

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「いや、この頃雛音と人生ゲームにはまっててさ」 苦し紛れに言い訳をした。 「人生ゲーム?なんだよそれ。嘘ならましな嘘つけよ」 ヤスは笑いながら席についた。 それ以上何も聞かなくて、ヤスのそういう所が好きだった。 空気を読むのが上手いというか、わかってくれる。 でもヤスにもいわなければいけない。 「なぁヤス」 ヤスの席へと向かう。 ヤスは教科書を机に入れている。 「なに?」 「あのさ….…俺……」 顔がこわばる。 言いたくないわけじゃない。 でも、口にすることによって自分は来年ヤスと一緒にいない、雛音と一緒にいないと認めなければならない。 自分できめたくせに、自分が一番認めたくない。 矛盾している。 「いいよ別に。言いたくないなら」 「いや、そういう訳じゃ…」 怒らせた? 焦った。 「言える時がきたら言って。それまで待っとくよ」 男らしすぎるヤスの言葉に笑った。 いいやつ。 こんないいやつがそばにいてくれるのが不思議だった。 俺は出来損ないだから。
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