華原 恭

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ちゃんと自分の口から伝えようと思っていた。 だが、うまくいかない。 バレる日が来る。 6月の塾のテストが悪く、俺は学校を休むようにいわれた。 家で勉強しろと言うのだ。 俺にとって学校は憩いの場で、休むなんて絶対嫌だったが刃向かえるわけもなく休んだ。 事件はその日の夕方起きた。 インターフォンが鳴った。 その日は母親が家にいたので俺はインターフォンを無視する。 きっと母親が出るだろう。 玄関を開ける音がしたので出たのがわかる。 「あら、雛音ちゃん」 ドアを開けたままの母親、2階まで声が聞こえてきた。 雛音!? 俺は急いで部屋を飛び出す。 そして父親の部屋へと向かった。 この部屋の窓から門が見える。 母親の姿は屋根で見えないが、雛音の姿は見えた。 窓を開け、カーテンを閉める。 そのカーテンの隙間から雛音を見た。 「恭は……いますか?」 「あー……恭はね……」 言葉を濁しながら母親が答えている。 「塾にいってるんですか?」 !? 雛音が言った。 塾と。 なんで? なんで知ってるんだ? 「雛音ちゃん知ってたの?なーんだ。そうなのよ、今勉強してるわ。私立受けるからやっぱり勉強しなきゃいけないじゃない?」 「え?」 私立 言ってしまった。 ばれてしまった。 どうやら私立に行くことは知らなかったみたいだ。 最悪の形でばれた。 雛音は一礼して自分の家へと戻る。 どうしようどうしよう、 雛音が知ってしまった。
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