華原 恭

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物ごころついた時から雛音と一緒にいた。 おたがいの母親が同じ産婦人科に通っていたのが始まり。 その時に引っ越しを考えていた俺の親に雛音の両親は同じ団地を薦めた。 そして何の運命か偶然隣同士の家になったのだ。 そして 物ごころついた時から雛音のことが大好きだった。 「もう6年生だね」 雛音と共に帰路を歩く。 「同じクラスなれなかったな」 6年間同じクラスになれなかった。 家が近いので毎日のように遊んでいたが。 「中学では同じくクラスになりたいよね」 無邪気に笑う雛音になにもいえなかった。 雛音、俺……私立の中学に行く。 言えなかった。 中学での二人を想像して微笑んでいる雛音を見てられない。 でも傷つくのがみたくない。 言わなきゃいけない。 でも、言ったら雛音はどう思う? 同じ中学に行きたい。 でも、俺は私立に行かなければならない理由があった。 今までが一緒にいすぎて、雛音がいない生活なんて想像できなかった。 来年俺は、笑えているだろうか。
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