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「なんて言えばいいんだろう。残り火………とでも言っておこうか」
と、男は少し考えながら言った。
「残り火?」
「ああ……おじいちゃんも早くここから離れた方がいいよ。ここは巣の近くだ」
「巣の近く……巣?」
「そうだ。またあれが来るよ。永遠に」
と、足下にいる者を指差した。
「それは困るな。でもどこに行けばいいんだ?」
「明かりがある所に行くといい。あれは光に弱い。といっても、明かりなんてどこにもないけどな」
「覚えておく。―――俺は寺山茂郎だ。アンタは?」
「伊勢崎高志だ。言っておくけどおじいちゃんより歳上だ」
「は?」
「冗談だ」
と、伊勢崎は笑った。
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