堂本隆幸

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これは食らった人間を吸収し取り込む。さっき親友の正人がこいつに食われるのを偶然見てしまったのだ。 「……たか…………ゆ、き」 「えっ? お前……っ!?」 化け物から聞き覚えのある声がすると思ったら、下腹部の辺りに生えている正人がしゃべっていた。 化け物に押し倒された体制なので、ちょうど自分の太ももの辺りから正人がこちらに目を向けていた。 「に……げ……ろ!!」 逃げろ? 「にげ……るんだー!!」 正人は吐血した。もう顔がぐちゃぐちゃに歪んでいた。それでも正人は必死になって叫び続けた。 そして肩から生えた正人の手が蠢き、あり得ない角度に曲がり、化け物の顔を鷲掴みした。 「あ……う……うう」 もう正人はしゃべれなかった。でも隆幸には十分すぎるほど伝わった。
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