堂本隆幸

6/9
前へ
/56ページ
次へ
隆幸は奇声を発しながら精一杯、化け物を蹴り飛ばした。そしてすぐに立ち上がり逃げる。 走った。とにかく走った。後ろを振り返ることなく、ただひたすら走った。 なんだかさっきから走ってばっかだ、と思いながらも決して足を止めることなく走り続けた。 やがて橋が見えた。車1台なんとか通れそうな狭い、石でできた橋だ。左にも道があったが、そのまま橋を突っ走った。橋の奥には家が見えたからだ。どうやら橋の奥には小さな村があるようだ。 橋を渡り終えるとそのまま近くの民家に駆け込んだ。古い木造の1階建てだ。玄関を叩いたが誰も出てくる気配はない。それどころか、この村には人の気配が全くない。 やはりか、と隆幸は思った。 あんな化け物がいるような所だ。人が生きてる方が不思議なくらいだ。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加