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隆幸は奇声を発しながら精一杯、化け物を蹴り飛ばした。そしてすぐに立ち上がり逃げる。
走った。とにかく走った。後ろを振り返ることなく、ただひたすら走った。
なんだかさっきから走ってばっかだ、と思いながらも決して足を止めることなく走り続けた。
やがて橋が見えた。車1台なんとか通れそうな狭い、石でできた橋だ。左にも道があったが、そのまま橋を突っ走った。橋の奥には家が見えたからだ。どうやら橋の奥には小さな村があるようだ。
橋を渡り終えるとそのまま近くの民家に駆け込んだ。古い木造の1階建てだ。玄関を叩いたが誰も出てくる気配はない。それどころか、この村には人の気配が全くない。
やはりか、と隆幸は思った。
あんな化け物がいるような所だ。人が生きてる方が不思議なくらいだ。
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