堂本隆幸

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ドアノブに手をかけると簡単にドアは開いた。中を覗くとすぐそばに小さなキッチンが見えた。ダイニングテーブルには4つ椅子あり、テーブルの上にはごちゃごちゃと皿やコップなどが置いてあった。 意外にもキレイだった。いや、キレイとは言えないが、予想してたよりは物が散乱していなかった。 まるで先ほどまで人が住んでいたような、生活感溢れる部屋だ。 隆幸はためらないがらも、土足のまま部屋に入っていった。 いつでも逃げられるように。 キッチンの奥には、8畳ほどの居間があった。洋服は無造作に散らかり、カーテンレールにはハンガーが引っかけられており、白いシャツが干してあった。 ゴミ箱には紙ぐずや、チラシなどが捨ててあり、やはり先ほどまで人が住んでいたような錯覚に陥る。まるで自分が泥棒にでもなった気分だ。
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