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美沙は不安になるといつも首に下げたペンダントを握るクセがあった。
「隆幸くん……」
美沙は大学で同じサークルに所属している堂本隆幸に密かに恋をしていた。昔からオカルト好きで、みんなから変な目で見られていた自分を彼は初めて受け入れてくれた。
彼と一緒にオカルトや都市伝説について語り合った時間はなによりも大切だった。
この思いはもう止められない。誰にも止めることはできないのだ。なのに彼に思いを伝えることができない。いざ彼を目の前にすると、なにも言えなくなってしまう。前日に練習した告白の台詞も全部ふわりと消えてしまうのだ。
人を好きになることってこんなにも、もどかしいことだと思わなかった。
もっと毎日が素敵なことだと思った。
――違う。ただ自分が臆病なだけだ。思い通りにいかないから、こんなことを思ってしまうんだ。
隆幸くん……どこにいるの?
助けて。私を助けて。
この化け物から。
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