京野ゆかり

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『こっち』 また誰かが私を呼んでいる。女の子だ。 どこにいるの? 『ふふっ、こっちだって』 見えない。 『私はだーれ? アナタはだーれ?』 私は私よ。違う……私は私じゃない。私が私なんだ。私と私は私なんだ。 『私と私で私だよ』 そうね。 『今は私の体が心配。このままだと……』 目を覚ますと目の前には知らないおじさんがいた。服装からして警察だ。 その警察はいきなり私が目を覚ましたのでびっくりしていた。 ふと自分の服を見ると、セーラー服が脱がされてほぼ全裸になっているのに気づいて思わず悲鳴をあげた。 落ちていたセーラー服で自分の体を隠す。 「……だ、大丈夫だよ。も、もういないから。俺が追い払ったよ」 と、警察のおじさんは必死になって私をなだめた。
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