「滝本 優那」

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『それは昔の噂です…』 「聞くなんて言ってない!!帰してよ!!」 …うるさい子ですね。 ずっと帰れなくなるのに。 『黙りなさい。この本を聞いてから喚けばいい!!』 すると女の子は静かになる。 咳払いを一つしてまた先ほどのセリフを言う。 『それは昔の噂です… 口裂け女は知ってますね…? それはそれは子どもの恐怖を招いた噂。 だけどそれはほんの序の口だったんですよ…』 ────────────── 「口裂け女ってしってるー?」 「知ってる知ってる!!マスクを外して『私、綺麗?』ていう人でしょー!!」 何気ない日常。何気ない休み時間。 「逃げる方法があるんだよー!!」 「マジ!?教えて!」 何気ない話し。何気ない噂。 「ぽまーど嫌いだから、ぽまーどって叫べば良いんだって! ほかにはべっこう飴持ってたら口裂け女に投げるの! 好きだからすぐ飛びつくんだって!」 「あ。それともういっこあったよね! 確か『綺麗?』てきかれて『普通』て言えばいいって!!」 子どもは今話題の噂に花を咲く。 咲かせすぎて時間を忘れそうな位…
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