第1章【童貞】

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「おーそーいぞ!」 茶色いスーツの上に汚れた白衣を重ねた理科の教師が遅刻した義則を睨んだ。義則のネクタイは緩く止められワイシャツは第三ボタンまで開いている。 「あーはいはい」 学生カバンを叩き付ける様に机に置き、薄い水色の背もたれが着いた椅子に荒々しく座った。 髪型は少し長めのアシメウルフ、綺麗な黒髪と鍛えられた色白な肉体。これで顔立ちも端正なのだから素行が良ければ彼女には不自由しないだろう。 「お前ヤンキーかよ」と呆れた様に呟くのはバスケ部のキャプテンを勤める川口海斗。こちらは短髪であるがスポーツマンらしく、やはり男らしい。 「鑑別上がりの善良な高校生だ。知ってるだろ?」 2年もこの高校に居れば義則の悪い噂は耳に入る。鑑別上がり、よく有る経歴だ。
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