序章

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「イスラムは死んだらアッラーに会えるんだろ?」 アフガニスタン軍から盗んだのか着用したまま脱走したのか、ウッドランド迷彩の戦闘服を着たアラブ人らしい捕虜に日本語で問い掛けた。 「お前らイスラムは最低の屑だよな?」 皆が皆アフガニスタンの公用語であるダリ語か、或いはパシュトー語で騒いでいる。命乞いと言うよりは罵詈雑言の類だろう。 しかし義則は倍以上の歳を重ねた捕虜をMP-443で射殺した。 「黙って死ね、ギャーギャーうるせぇんだよ」 端から順番に殺してまわる。彼と同じ年齢なら、恋愛や学業、趣味や友達付き合い、に没頭しているのが普通だろう。 「あ、なんだ?」 最後の1人は命乞いをしているらしい。肌寒い高山地帯の一角で捕虜は生き延びる方法を探した。 「君達の同胞に残虐な仕打ちをしたのはサルワリの部族だ、我々では無い!」
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