硝子ごしの熱量

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12月17日、海岸には大勢の人が居た。 そこに居る誰もが海の一点を見つめていたのを良く覚えている。 そして、そこに居る誰もが望む瞬間が訪れる。遠くの方から、薄らと浮かび上がる光。そして、その光は徐々に大きくなり、やがて旅客船がその全貌を現し始める。船体に“ルーシタニア”の文字を見つけた時の歓喜。それは、今でも色褪せることなく私の胸に刻み込まれている。 旅客船の窓に人影が見えた時など周囲から歓声が上がった。
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