7月11日午後8時45分 「降下―ローラン」

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 ローランは自分の手元で重く圧し掛かるアサルトライフルを見つめていた。ヘリのプロペラが回転する音が、機内といえども大きく耳に響き、苛立ちを湧き出させる。  しかし、ただこれだけのことで苛立つローランではない。そのことは、彼自身自覚していたし苛立っている原因も分かっていた。    一番の苛立たせている原因は、州兵として派遣された自分達が詳しい事情も知らされずに「本地展開している機動隊と支援国軍の混合部隊の指揮に従い、共に暴徒を鎮圧せよ」とあたかも子供のお使いをさせるかのように命令を出されたことに関してであった。  暴徒を鎮圧するのは確かに州兵の仕事としてあることは理解している。しかし、他国の軍まで介入していることに関してローランは納得がいっていなかった。  アスリア合衆国直属の支援軍が派遣されていることは、既に秘密裏として州軍内部に緘口令が引かれていた。つまり、合衆国軍との同時出撃に関しては一切の他言無用ということである。
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