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俺はゆっくり口を開いて今までの事を千葉さんに打ち明けた。初恋は先輩で、中学の時に先輩に失恋したと。
「そうだったのか…」
「…はい」
「それで、瀬名はその人の事まだ好きなの?」
『好き』その二文字で一瞬にして胸が苦しくなった。
志望して入学した高校は写真部が有名で、先輩がいると思ったから淡い期待を胸に入学したのが本来の目的だけど、先輩の姿はなくて本気で諦めるしかないと思って暫く考えないようにしていた。
だから、好きっていう感情が薄れてきていたと思っていたけれど、やっぱりまだどこか期待している自分がいる。
「好き…なんだと思います。もう会う機会なんて二度とないと思いますけど…」
部屋中が静まり返る。
千葉さんも俺も俯いたまま黙り込んでしまった。
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