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「好きですっ!!付き合ってください!!」 放課後。 体育館裏。 漫画では告白するのに定番な、 そして私がよく来る、それでいて、とても嫌いな場所。 「あの……えっと……私、えっと」 どうしよう……… 答えは決まっているのに、なかなか言葉が出てこない。 「七瀬さん………俺、本当に好きなんだよね……七瀬さんの事……」 そんなこと言われたら、ますます言えない。 だけど、ここで逃げて返事を待たせてまで相手を傷付けるのも嫌。 だから、 「……ごめん……なさい」 しばらくの間、沈黙が続いてしまう。 そんな時間も嫌。 と、 やっとの思いで、というような顔つきで目の前にいる男子生徒、違うクラスの長島くんが口を開いた。 「そう……だよね。うん……ごめんね」 「あの、でも……ありがとう」 私がそう言うと、長島くんは、うん、と切なそうに笑って帰っていった。
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