盗賊

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「ああ。ねえ、兄さん、俺と一緒に金儲けしないか?」 「金か、興味は無いな」  しかし、青年はそんな連れない返事をする。 「そう言わずにさ、人助けでもあるんだぜ」 「ますます興味ないな」  青年は悩むそぶりも見せずに言い切る。 「そう言わずにさ」  と、少年が青年の顔を見上げた時、思わず絶句した。その両目が薄藍色の布きれによってふさがれていたからだ。つまり、青年は先ほどから目隠しをした状態で行動をしていたことになる。道理で自分の姿を見ようともしなかったはずだと、少年は一人で納得をした。
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