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その、彼が最も警戒するべき命の危機の気配、それが青年の周囲に漂い、ヴァンは動きを止めた。
青年が命の危機に瀕している、しかし、ヴァンは動けなかった。危機に敏感だと言うことは、それだけ危機に臆病だと言うこと、ヴァンはその度に自らのふがいなさを恨めしく思いながら、その場から逃げ出すことが常だった。
今回も、ヴァンはじりじりと後退しながら、心の中で、あれは自分とは関係の無い人物だ、その証拠に、俺の話を聞かなかったではないか、などと言い訳をしていた。
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