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すぐ目の前に椎葉の不機嫌ドアップ顔。
ぎゃあ!ぎゃあ!
近い近いよ!
固まっている俺に構わず、ぴったりと体を密着させる。
ひいいいいいいい
慌てふためく俺が面白かったようで、ちょっと笑って俺の顎を掴む。
「リンゴ通り越してトマトみてぇになってんぞ。」
トッ…!
そんなに大差ねえええ!!!!
「うううっ、リンゴもトマトも真っ赤だもん…!」
『だもん』て言っちゃったうわぁぁ我ながらキモス!ぶってる俺キモス!!
「倖も真っ赤だろ。あと、どうにかならないのかこの寝癖…」
俺の芸術的ともいえる、四方八方に跳ねた俺の髪の中に指を絡める椎葉。
「おおお俺の寝癖に何か問題でも!?」
「別に…」
無いんかい!!!!
さっきと言ってること違う!混乱する!
俺を抱き寄せながら、相変わらず眠そうな顔で再び聞いてきた。
「で、俺は誰と比べられたんだ…?倖。」
低い、けれど心地よい低音ボイス。
これが耳元で囁かれると、俺の思考回路も馬鹿になる。
「ぅ、き、昨日…刑事さんに出会って…ちょっと疲れてたっぽいんだけど、普通にカッコイ…ぃい゙っ!?」
体を正面からピッタリ密着させられ、椎葉の体温椎葉の体温椎葉のスメルとか変態的なことばかり考えて顔を反らしていた俺だったが、不意に指に痛みが。
ぎゃああああああ
指噛まれてるぅぅう!?
眉間に皺を寄せて何故かまた不機嫌になっている椎葉は、俺の指をガジガジと噛みながら睨んでくる。
「刑事は…俺の一番嫌いな奴等だ…」
えええっ!そ、そうなの!?
「そんな奴等と俺を比べるんじゃねぇ。」
「は、はいィィ」
すんませんしたぁぁ!!
「…………お前は…俺のことだけ考えてりゃいーんだよ…」
ふええっ!?
噛んでいた指を今度は舐められる。
手の甲にも音を立てて吸われ、ドキドキしてしまう。
歯形と小さな痕がついて、散々な手になってしまった。
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