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「涼子さん
うすうすお解りだとは思いますが…
柊さんは階段から落ちて 頭を打った事で
脳の奥底で眠っていた柊くんの意識が表面化したのでしょう」
「で、でも
柊にしては…ちょっと様子がおかしいですよ
涼子の姉ちゃん だなんて…」
「問題は そこなんです…
柊くんの意識は戻りましたが…
今から7年前の柊くんに退行しています
柊さんの話では
2年前の事件後、柊くんの意識は消えてしまったと聞きました
もしかすると…ですが…
柊くんにとって
女性になる過程がトラウマとなり
自分自身の中で、その前後も含めた数年間を封印してしまっていた
そして一番幸せだった19歳の自分で収まっていたところに…
意識をカミングアウトさせる衝撃が加わった…
という予測です」
「…先生のいう通りかもね…
だって他には考えられないもの
でも…これからどうしたらいいのかな?…」
「説得は大変でしょう…
自分が考えている時代から7年も先の未来である事
山形で涼子さんと所帯を持ってから、女性へと変貌する過程
そして…意識の中に『柊さん』という女性が覚醒した事
柊くん…きっとパニックになるでしょうね…」
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