潮騒の歌う街で

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「ヒッキーおかえりっ!」 「ひっき!遅いっ!」 「りょん ただいまっ! そらりん 遅くなってゴメンね♪」 玄関を開けると いつもの笑顔が迎えてくれた 私の柊♂の奥様 涼子ちゃん 私達はお互い敬愛を込めて『りょん』『ヒッキー』と呼び合っています そして 私の帰りを待ちわびていた私の最愛の息子ちゃま 宇宙 今年で4歳 愛称はそらりん 佐野先生の道場には私とそらりんが通っています 「ご飯出来てるよ! 宇宙はもう食べたから!」 「ありがとっ じゃあ 準備してくるね」 奥の部屋で着替えをしていると りょんが 「あぁ そういえば また隣のおばさんが ヒッキーの事聞いてきたよ テキトーにあしらったけどね」 また隣の増代おばさんね… マンションの隣の住人で名前が花地増代さん 一人暮らしの70代の方 仕事的に優しくしなければ…とも思うんですが とにかく 人の噂話が大好きで、マンションの中でこの人が知らない事はない位の耳年増なんです そんな増代さんのターゲットに選ばれたのが…我が家 女性二人に子供一人の我が家に ただならぬ匂いを感じたのでしょう 会うたびに何かとプライベートを聞いてくるので… ちょっと…ウザい …あ そんな事言っちゃいけないですよね でも私達に秘密があるのは確かです りょんと口裏合わせておかないと… さっ! 早くご飯食べて 先生に逢いに じゃなくて 練習!練習!!
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