不良読書家の恋

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「これ、よかったら、貰って、欲しい」 変に区切りながら言うと、巴をじっと見た。 巴はゆっくりと箱を開けて、中の指輪を瞬きもせずに暫く見つめてる。 「僕はこれから旅に出る。とても怖いし大変だけど、君が一緒に来てくれたら、きっと楽しいと思うんだ。」 ろーるんの不思議な冒険の中の言葉。ろーるんが好きなジェシカに言った言葉。 ジェシカはこう答えるんだ。 「頼りにならないあなたが心配だから、一緒に行ってあげてもいいわよ。ただし、」 巴はそっと左薬指にはめた。 「絶対に手を離さないでよ」 そう言って巴は俺の手を握った。 そして 「ありがとう」 にっこり笑って俺に抱きついて来た。 「え!?わ!?服がぁ!」 俺は予想外な巴の行動にあわあわして汚れた服で巴を抱き締めてしまった。
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