不良読書家の恋

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「秀より早く来たかったんだけど、悔しいなぁ」 「いつも俺より早いじゃん」 「今日は特別、早く来て待ちたかったの」 そう言ってフワリと笑う巴に触れようとして止めた。 巴が不思議そうに首を傾げる。 「ごめんな。こんな格好で・・・」 抱き締めたかったけど、白いコートを汚してしまいそうで出来なかった。汗臭いし。 それを聞いた巴がくすっと笑った。 「いいよ別に!仕事の後急いで来てくれたんでしょ?秀のそういうわかりやすいところ大好きだよ」 なんか馬鹿にされてる気がしなくもないが、かなり嬉しい。 実際馬鹿だし巴にならいいんだ。馬鹿にされても暖かい感じがするから。 「実は財布もケータイも忘れちまって」 「えぇ!?じゃあ、取りに行く?私が今日奢ってもいいし!」 「いや、俺が出すから!だから一旦俺ん家に行く。 でもその前に・・・」 巴の手を取って、その中に、ずっとポケットの中で握り締めてた小さい箱を置いた。
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