3話 その生徒、落ちこぼれにつき

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「それって、普通の剄術と何が違うんです?」 「そうだな、例えばの話。 僕がお前の顔面を殴ろうとする。 で、お前がそれを避けてカウンターを打つとしよう。 その間に結構考えてるだろ?」 「まず『避け』て『攻撃姿勢』に入って『打つ』……。 三回は考えてますね」 「熟練した術者なんかはその思考が限りなく無いに等しい。それこそコンマ数秒の世界。 でも、『操体』はその考えのプロセスを自動化、拳が来た時点で最適な体の動きを勝手にしてくれる。考える必要が無くなる。 コンマ数秒なんて目じゃない、スタートダッシュが違うんだ」 「そ、そう、です。 で、も、外力剄は、それだけじゃ、ないです」 今度はギディヌが口を開いた。そして懐から一枚の紙を取り出す。 「レフィ先生、も、外力剄、を、少しご、誤解してま、す。 そもそも、剄術は、エネルギーを、そのまま、使うんです。 内力剄、は、体の、内側、で。 外力剄、は、体の、外側、で。 く、工夫、すれば」 ギディヌは紙を宙へ離すと、右手を振るって一閃した。とても事務員の動きではない見事な手刀。 それは紙を真ん中から縦に両断した。無論刃物など使っていない、正真正銘、ただの手刀だ。 だが、紙はまるで刃物で斬ったかのような切り口で床に落ちた。 「今のは、中級剄術、『剄刀』。 エネルギーを、薄く、鋭く、形を変えて、剣のように、変える」 ギディヌは燐へ示すように右手を出した。そこには燐の常識を覆しかねない、洗練されたエネルギー操作が行われていた。 『紅』のエネルギーが手のひらから指先まで覆われており、薄く包むように操作されている。完全にエネルギーを留め、手中に収めている。 ここまでのエネルギー操作など、燐は見たこと無い。 「こ、これから、まず、燐君には、徹夜で学んで、貰います。 じ、時間がないですか、ら 」
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