3話 その生徒、落ちこぼれにつき

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もうやることはないな、とレフィは考え体育館を後にした。 後はギディヌに任せて、自分は書類の続きをしよう。憎々しいガキどもの尻拭いという嫌な仕事だが、今やることだ。我慢するしかない。 体育館から悲鳴にも似た叫びが聞こえてくるが無視する。気にしてもどうしようもない。 数日後……。 「レフィさん、あなたはいつまでこの学校にいるつもりさー?」 「気が済むまで。誘導尋問には引っかからないよ」 「うー!!」 放課後、学校の屋上で仕事を終え、床に寝そべるレフィにナリルが問いかけていた。というよりここ数日同じ質問に同じ回答だ。 ナリルは蒼を練りあげ、周りに水球を出現させた。 「びしょ濡れになりたいのかい」 「その前に」 素早く銃を抜いて発砲、水球を破壊する。 「お前の眉間をぶち抜くぞ」 「冗談でもキツ、キツすぎるさ!!」 いきなりの出来事に、さすがのナリルも尻餅をついて驚いた。冗談でも銃の発砲をするものではないのは常識である。 銃を回転させ、ホルスターに仕舞うと、レフィは大きく欠伸をした。 「そういや、燐はどうした?」 「燐くん?ああ、彼は……」 「何か問題が?」 「それがさ、ここ数日で様変わりしたさ、彼。 少し前は術が使えないってのに、補習試験にはブッチギリの成績でクリアしたのさ。それでそのあとの授業なんかも余裕でクリアしてるさ。 勉強も実技も良し、さらには性格も素朴で謙虚。一気に株を上げたらしいさ」 「ふーん」 興味なさげに相槌を打ったレフィ、再び欠伸して目を閉じた。 目的の任務はまだ進捗していない。長い目で計画を建てる必要がある。そんなことをチラと考えながら。
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