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「カナッチェか。
新人の子を部屋へ通せ」
短く用件を伝え電話を置くと、オイトリオは笑顔で言った。
「おぬしも一人の仕事が多いし、たまには誰かと一緒というのも斬新で良かろう」
「ふん」
レフィはそっぽを向いて拗ねる。
同行者など必要ない、それもよりによって新人。戦力の当てにならないのは目に見えてるし足手まといでしかない。しかも魔導学園の生徒ときた。子供の世話などお断りにしたい。
しかし断ってもオイトリオは無理矢理にでもつけるだろう。同行者云々より、何より目的はレフィの抑止力のためだろう。誰かと一緒なら無茶なことはしないだろうと考えられているのかもしれない。
不意に後ろのドアが開き、誰かが入ってきた。
「おお、よく来たのう。
お入り、ナリル」
「はいなのさー。
マスター、なんのごよ……」
名前と声からついさっきのことを思い出し、後ろを振り返って見ると、そこにはナリルが立っていた。
ナリルもナリルで、かなり驚いていた。
「……もしかして同行者ってのは」
「そう、そこのナリル・フリじゃ。
この子はなかなかの実力らしいのじゃが、いかんせん経験が足りん。
依頼もまだ受けておらんし、初めてならこれが妥当かなと思うての」
「でもこいつ、新人なのにパートナー決めずに……」
「わー! わー!」
レフィの言葉に、ナリルは慌てて言葉を遮るように大声をあげた。
なるほど、バレたら説教だ。だからイヤなんだろう。
ニンマリとレフィは笑うと、
「こいつ、規約に……」
「わー! わー!」
「新人なのに……」
「わー! わー!」
「パートナー決めずに……」
「わー! わー!」
「……」
「……ふう」
「こいつパートナー決めずに仕事しちまってるよ」
「わあー!?」
少し遊び心を加えてチクってやった。
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