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街はすっかり明るくなり、すでに昼頃だろう。人々が飲食店に入っていく姿を見る。
神帝都アナフィア。
アナフィアの首都であり大陸一の街である。ここらへんはその一角というわけだ。
商業地区の『リリコク地区』、工業地区の『グンダイ地区』、住宅地区の『キィジ地区』、学園地区の『ニーハチ地区』、宗教地区の『クリアナ地区』と区画整理されているのも特徴だ。
空を見れば能力技術と古代の機械技術が融合した不格好な三角の形をした『飛空艇』が飛んでるし、往来を小型の箱のような形の『転力車』が走っている。どちらも燃料は空気と水。これは能力によって作られたことが起因している。
そんな人が星の数ほど住んでいる。この街で、レフィは往来を抜けて歩いていた。その隣をナリルが連れ添って歩いている。
「それにしても、マスター酷いのさ」
未だに痛むたんこぶをさすって、ナリルはぶつくさ文句を垂れていた。
「パートナー決めずに仕事してるってわかったら、文字通り雷落としてげんこつ。
世が世なら虐待さー」
「じじいは有名な『雷術師』だからね。
あれだけですんで、運が良かったんだじゃない」
「にしても酷すぎるさー……」
「ところで、君はどこまで僕について来るつもり?」
「ふぇっ?」
唐突な質問に、ナリルは思わず間抜けな声を出してキョトンとした。
「ど、どこって、レフィさんのパートナーだから、その、仕事先まで一緒に……」
「僕はこれから装備を整えたり昼ご飯を食べようとしてるんだ。
君を連れて歩く理由がない」
「そ、そう言われても……。
それに、昼ご飯なら私も一緒に行くさー……」
「じゃあこうしよう。
僕はこれから装備を整えて昼ご飯を済ませる。
君はその間好きなことをすればいい。
後は現地集合。 じゃ」
それだけ言うと、レフィは歩く速度を上げて人混みの中に消えていった。
「ま、待ってください!」
ナリルも慌ててその後を追おうとするが、すぐにその姿は離れていってしまい、追いつけなくなってしまった。懸命について行こうとするが、次第にその後ろ姿を見ることしか出来なくなっている。
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