1話 その男、厄介者につき

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「それで、レフィさんにあたしのパートナーになって欲しくて……。 あ、パートナーって言っても書類に書くだけで、仕事はもうあたしがしちゃってて……」 「知らないよ、そんなこと」 レフィはナリルに背を向けた。 「カナッチェさん、新しい仕事は?」 「そうね、その前にマスターがあなたを呼んでるわー。 行ってね」 「あのジジイ、なんの用なんだろうね。 まあいいや」 それだけ言うと、レフィは奥の扉を入っていった。 後には呆然とするナリルだけが残され、どうしたものかと目を泳がせている。 カナッチェはと言うと、安堵の息を吐いてうなだれた。 「ふぇー、緊張したわー」 「か、カナッチェさん。 あの人一体なんなんです……?」 「ああ、彼? 彼はレフィ・アラルト。 このアナグラでもなかなかの実力を持ってる人よ。 厄介な討伐依頼を一人でこなすことで有名なのー」 「へー、それならどんな術を使うのか見てみたかったのさ」 「ナリルちゃん!」 咄嗟にカナッチェはナリルの口を塞いだ。 「彼の前で術の話しちゃだめよ……! それこそ殺される……!」 「ふぁ、ふぁい……」 ナリルは必死に首を縦に振って肯定の意を示す。ここまでカナッチェが必死になるのも珍しい、いつもは穏やかな口調で笑顔を絶やさない人なのに。 カナッチェはナリルから手を離した。 「さて……、マスターはなんの話をするのかねえ……」 レフィが消えた奥の扉を見ながらカナッチェは呟いた。
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