1話 その男、厄介者につき

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オイトリオは積まれた紙束の中から一枚抜き出すと、それをレフィに差し出した。 受け取り、内容を確認する。 「ふーん、今度は教会の神父の調査、ね」 「うむ、この街の外れに教会がある。 そこにいる神父が、裏で薬の取引や誘拐をしていると情報が入ったのじゃ。 それを詳しく調査し、報告することが主となる」 「そんなのは『色彩四家』の『無家』の仕事だろ」 「たしかにそうじゃ。 『法術』は無色(なしいろ)の系統、そして教会は法術師の修行場。 管轄として『無家』じゃろうな。 しかし、これはその『無家』の一派からの依頼じゃ」 「めっずらしいねー。 あのお高くとまった『彩家(さいけ)』が、こんな下々のなんでも屋に依頼をよこすとはね」 「確かに高くとまっているのに否定はせん。 じゃが、それでもスポンサーには変わりなかろう」 「ま、事務的には仕方ないね。 だけど、この仕事は断らせてもらうよ」 レフィは机の上に紙を落とした。 「僕はこんな退屈な調査依頼なんかしたくない。 知ってるだろ? 僕は憎い『彩家』のお仕事なんかしたくないんだよ」 「そこの神父がレフィの嫌いな『魔術師』だとしても、かな?」 レフィの目が鋭くなった。 「……どういうことだ。 普通教会の神父ってのは、神に祈りを捧げることで確立する『法術師』が普通だろう」 「そうじゃ。 しかし、そこの神父は自然に信仰を捧げることにより確立する『魔術師』なのじゃ。 しかも、ならず者の『勁術師』や蒼系統の『魔術師』まで抱えた武装教会になっておる」
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