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オイトリオは積まれた紙束の中から一枚抜き出すと、それをレフィに差し出した。
受け取り、内容を確認する。
「ふーん、今度は教会の神父の調査、ね」
「うむ、この街の外れに教会がある。
そこにいる神父が、裏で薬の取引や誘拐をしていると情報が入ったのじゃ。
それを詳しく調査し、報告することが主となる」
「そんなのは『色彩四家』の『無家』の仕事だろ」
「たしかにそうじゃ。
『法術』は無色(なしいろ)の系統、そして教会は法術師の修行場。 管轄として『無家』じゃろうな。 しかし、これはその『無家』の一派からの依頼じゃ」
「めっずらしいねー。
あのお高くとまった『彩家(さいけ)』が、こんな下々のなんでも屋に依頼をよこすとはね」
「確かに高くとまっているのに否定はせん。
じゃが、それでもスポンサーには変わりなかろう」
「ま、事務的には仕方ないね。
だけど、この仕事は断らせてもらうよ」
レフィは机の上に紙を落とした。
「僕はこんな退屈な調査依頼なんかしたくない。
知ってるだろ? 僕は憎い『彩家』のお仕事なんかしたくないんだよ」
「そこの神父がレフィの嫌いな『魔術師』だとしても、かな?」
レフィの目が鋭くなった。
「……どういうことだ。
普通教会の神父ってのは、神に祈りを捧げることで確立する『法術師』が普通だろう」
「そうじゃ。
しかし、そこの神父は自然に信仰を捧げることにより確立する『魔術師』なのじゃ。
しかも、ならず者の『勁術師』や蒼系統の『魔術師』まで抱えた武装教会になっておる」
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