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騒がしい、電車内。僕は、携帯電話を取り出すと、いつものように、暇潰しにコミュニティサイトへとアクセスした。後、数分したら、この電車は油川駅に到着して、僕は携帯電話を閉じなければならなくなるだろう。それが、なぜか今日は、たまらなく億劫だった。
ガタン、ゴトン。電車は、無情にも、ゆっくりと進んでいく。何だか、今日は、とてつもなく気分が重かった。毎日のようにこなしているはずの、六時間の授業。それを考えただけで、気管の部分に黒いものがたまったようになり、呼吸が難しくなる。
友人との会話。授業。昼食。体育。その全てが、億劫でたまらなかった。それなのに、頭痛一つしない自分の丈夫な身体が、恨めしくてたまらなかった。
その時だった。
キキィ。電車が、今まで聞いたことがないような高温を立て、突然急停車した。慣性の法則にしたがい、僕の身体も勢いよく手すりにぶつかる。電車内が、しんと静まりかえった。何かが、起きた。
㊦
なんだろうね、今の。もしかして、事故った? そんな声が、電車内にこだまする。僕も思った。もしかして、本当に、事故が起こったのかもしれない。思った通りに、電車は、いつまでたっても発進しなかった。
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