依頼人

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「もういいから、頭上げろって」 司は、吉川の上半身を起こそうとした。 吉川は以外と力があるみたいで、全く動かなかった。 近所のおばさん達が、こちらを見ている。 意志が固いというか…頑固というか…多分、この男は折れないと思った。 「あぁ゛~」 司は、頭をかきながらしょうがなくあの言葉を言った。 「分かった分かった。引き受けるから。だから、顔上げろって」 「えっ?ホントに?」 吉川は顔を上げた。 「あぁ、もう俺の負けだよ。なんでも相談のってやるよ」 「ありがとう…」 吉川はまた頭を下げた。 「いやっ、分かったから、もう頭下げるなって」 こうして、司は吉川充という男の「恋のキューピット」を引き受ける事になった。
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