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『さぁ…ひろっチ。着いたぞ。悪いけど一緒に探してくれ。』
再び拝見する廃墟の民宿…
相変わらずジワジワくる怖さを感じる。
できればラップ音が鳴った二階には行きたくない。特にあの一番奥の部屋には…。
今さらだがジッポなんてまた買えばいいんじゃね?
やはり怖い所は怖いの一言だよ。
さっさと帰りたい為に、早速建物の中に足を踏み入れた…。
ジッポは懐中電灯を照らすと光輝くので、案外早く見つけられるかも…。
そう思っていたが全然無い。
探しても探しても無い。
『やっぱ二階も見ないといけないよなぁ…』
お経が嫌そうに言う。
『一緒に行って早く見つけて帰ろうぜ。』
考えられるのは、あとは二階だけ…。
俺達は意を決して階段を昇った。
床に光を当てて、とにかく探し回る。
無い、無い、無い…。
探すにつれて、あの奥の部屋に近づいていくのが嫌になる。
またラップ音なんて鳴らねぇよな…。
一歩一歩…ゆっくりと近づいた…。
すると、
『あっ❗あった‼』
俺は光に反射するキラキラとしたジッポを見つけた。
だが妙だった…。
綺麗なハンカチの上に置いてあった…。
そう…あの奥の部屋の前に。
まるで壊れものをそっと扱うかのように、丁寧に置かれていたジッポ…。
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