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俺とお経で辺りを照らす…。
『ん…?ここは民宿か何かか…?』
なんだかそんな造りに見えた。
物がさすがに散らかっているが、玄関のすぐ横に小さな窓があり、すぐ近くには台帳らしき物もある。廊下の奥に明かりを照らすと、トイレ🚻や、浴場の小さな札もかかっている。
『あぁ、だいぶ昔らしいんだけど、経営の都合上で潰れたらしいんだよ…』
お経は言いながら一階廊下を進んでいく。
俺も散らかった物を踏まないように後を追った。
一階にはトイレや浴場の他に、小さめの台所と居間みたいな場所、六畳くらいの和室がある。
一通り見て回ったが、これといって特別な物もないし霊も感じやしない。
『おーい、お経。もう出ねーか?何もないしもう充分だろ?』
俺がそういうと
『まぁ待てよ、まだ二階行ってねーだろ?二階行こうぜ』
こんな調子のお経。
マジか。っていつもの事か…。つか俺も俺であまり怖さが無くなってきたよ。心霊スポットに行き慣れたんだろうね。
『わかったよ、二階でおしまいだからなーっ。』
そう言って後を追おうとした時、階段の隙間から何か光る物を目でとらえた。
なんだありゃ?
手を入れてとってみると、それは腕時計だった。なんか裏側にはうっすら人の名前のような字が刻んであるが、さすがに薄れていて見えない。
と、その時だった…!
二階からものすごい〔バチッ!〕という音が聞こえた。
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