Mail①

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俺とお経で辺りを照らす…。 『ん…?ここは民宿か何かか…?』 なんだかそんな造りに見えた。 物がさすがに散らかっているが、玄関のすぐ横に小さな窓があり、すぐ近くには台帳らしき物もある。廊下の奥に明かりを照らすと、トイレ🚻や、浴場の小さな札もかかっている。 『あぁ、だいぶ昔らしいんだけど、経営の都合上で潰れたらしいんだよ…』 お経は言いながら一階廊下を進んでいく。 俺も散らかった物を踏まないように後を追った。 一階にはトイレや浴場の他に、小さめの台所と居間みたいな場所、六畳くらいの和室がある。 一通り見て回ったが、これといって特別な物もないし霊も感じやしない。 『おーい、お経。もう出ねーか?何もないしもう充分だろ?』 俺がそういうと 『まぁ待てよ、まだ二階行ってねーだろ?二階行こうぜ』 こんな調子のお経。 マジか。っていつもの事か…。つか俺も俺であまり怖さが無くなってきたよ。心霊スポットに行き慣れたんだろうね。 『わかったよ、二階でおしまいだからなーっ。』 そう言って後を追おうとした時、階段の隙間から何か光る物を目でとらえた。 なんだありゃ? 手を入れてとってみると、それは腕時計だった。なんか裏側にはうっすら人の名前のような字が刻んであるが、さすがに薄れていて見えない。 と、その時だった…! 二階からものすごい〔バチッ!〕という音が聞こえた。
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