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―――バルト王国―――
朝早くから、民衆の賑やかな声がきこえてくる。
俺はその声で目を覚ました。
―何百年と戦争が続いたが、今となっては昔の話。現在、人々は幸せに暮らしている。
“大戦争”を知る人は、ごくわずかな数になってきている。
もちろん俺も知らない。
俺の名前はクリス。25歳。
10歳の時から何でも屋を始めて、もうかれこれ15年目となる。
でも、“超ベテランさん”達からしてみれば、俺はまだまだお子ちゃまだとよ。
そんなのひがみに決まってる。
俺は重たい体をベッドから無理矢理剥がし、洗面所へと向かった。
『酷い顔だ...。』
そう呟いたのは、鏡に映る自分。
俺の自慢のフェイスが台無しだ...。
そう、でも無理はない、昨日の依頼の仕事は散々だったんだ。
人捜しの仕事を引き受けた時点は良かったが、その目的の人物がなかなか見つからない。
結局、丸一日捜し回ったが見つからない。
???
そして、散々捜し尽くした挙げ句の果ては、死人となって見つかったこと。
そりゃぁ、見つかるわけない。はぁ~。
んで、それから依頼主の心のケアもしなくちゃいけないときた.........泣きたいのはこっちの方だ!!(泣)
そして、今に至る...。うぇ...。
思い出しただけでも嫌になる。
いくら俺でも、死人を見るのは心地よくない。
『あ~、忘れよう!!もう過ぎた事だ。』
顔を洗い、豪快に一杯のブランデーを飲み干した。
俺は用意を済ませた後、ある処へと足早に向かった。
今日の天候は晴れ。どこか懐かしい風が吹いていた―――。
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