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「もう、祐くんが悪いんだよ? わたしは早く帰ろって言ったのに~!」
少しおっとりとした声が僕の耳に届く。
その声の主、愛莉ちゃんにそう言われ、全く言い返す言葉が見つからず焦った僕は
「うっ! それは分かってるけどさぁ…」
と、返すことしかできなかった。
うぅ、我ながら情けない…。
こんな状況なった理由は今からだいたい3時間前。
いつものように愛莉ちゃんと近所の公園で遊んでいたんだが、公園の隅の砂場を見てあることを思いついてしまった。そして声高々に
「ここに僕と愛莉ちゃんで砂のお城を作ろうよ!」
と、提案したのが始まりだった。
…………。
「まずは砂を固めるための水が必要かな?」
それからの行動は早かった。
近くにあったバケツに水を汲んで無我夢中でお城作りに励む。
「とりあえず土台から作ってっと…」
「ねぇねぇ、祐くん!」
お城の土台を作るために、凄腕マッサージ師のようにイヤらしい手つk…。じゃなくて、すばらしい手つきで手を滑らしていると、愛莉ちゃんがどことなくウキウキした声で話しかけてきた。
「ん? どうしたの?」
手がはなせなかったので、愛莉ちゃんのいる方へ顔だけ向けてみると
「みてみて! 砂で作ったお団子だよ~! おいしそうでしょ~!?」
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