あの子はいつも一人。

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「また一人でいる。」 月子はふと思った。特別意識しているわけではないのだが、視界にはいるプラチナブロンドがあまりに印象的で自然と目がいってしまう。 最初はその手触りの良さ気な綺麗な髪の毛を羨んでいた月子であるが、いくらかたったある日から、彼女がいつも一人であるということに気がついた。 月子と『プラチナブロンドの彼女』こと聖が出会ったのは今年の四月だった。 出会ったといっても偶々クラスが同じになっただけであり一方的に月子が彼女を意識しているだけである。 それ以前から風の噂でとても綺麗な子がいると聞いていた月子は聖を一目みて彼女が噂の主であると確信した。 「月子聞いているの?」 沙代が月子の顔を覗き込んだ。 声をかけられてからは月子の興味は沙代の髪の毛に移った。少し癖のある髪を高い位置で結った束は沙代が動くたびにふわふわと生き物のように動いた。
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