《黒色》

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◇    学校のチャイムが授業の終わりを知らせる前に、数学教師によって終了を言い渡された教室は、授業が早く終わったこともあってか、いつもより騒然としていた。  当たり前だが、この騒然としている教室に僕は興味など一欠けらも無く、ゆえに僕は授業中にすでに準備してあった鞄を持って席を立つ。  教室を出ようとドアを目指す途中、くだらない人間どもに呼び止められたが無視を選択させてもらう。僕が教室を出るなんて分かっている事なのだから、初めから呼び止める準備をしておけばいいのに……だから人間は駄目なんだよ。    ふと九黒の席に目を向けると、すでに空席になっていた。    僕は口もとがほころぶのを感じ、顔を元の無機質なものに戻す。  そして、僕はドアノブをひねり、ドアを開け、九黒がいるであろう図書室へとすばやく向かった。
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