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そんな僕の様子をそして心情を予想していたかのように、彼女は言った。
「やはり答えられないか……」
その言葉とともに彼女は黙る。彼女はこの結末を予想していたのに続きのシナリオを用意していなかったようだ。もうちょっと人の時間というものを考えて欲しいものだ。
だからと言って、家に帰ってもやることがないので、僕はこのしばらくの静寂に付き合うことにした。
僕はそっと彼女の横顔を見る。
彼女は整ったきれいな顔を少し歪ませ、今後のことを考えているようだった。
それにしても初めて会った時もそう思ったが、彼女はかなりきれいな部類に入ると思う。
何より目を惹くのがその白い肌である。
手入れのとどいた黒く長い髪とは正反対にその肌は限りなく白い。触ったら壊れてしまいそうなほどに。傷つけたいと思わせるほどに。
その儚い白さを心地よく思った僕は、いつのまにか吸い込まれるように見入っていった。
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