殺人鬼との日常《カップ麺》

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 そして、数時間が過ぎた。 「ガトー見てくれ」 「いきなりだな」 「いいから」  アリスは、ようやく帰ってきたかと思えば、見てくれと言いながら僕の前にカップ麺の容器を突き出した。  空の容器を。 「…………」 「お湯をくれ」 「…………」 「おい、ガトー聞いてるのか?」 「…………」 「もういい、自分でやる」  僕が驚いて何も言えないでいると、アリスはそう言ってキッチンに向かう。  いやいやいや、もしかして本気なのか? 本気であの空の容器からラーメンを作ろうとしているのか? お湯を注いで三分待てば、空の容器にもラーメンが出現すると本気で考えているのか?  アリスの方を見ると、どうやら彼女は本気のようだった。水を入れたやかんを火にかけている。
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