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「えーっと、で、なんでここにいるって?」
半ば呆れつつ、僕はアリスにもう一度尋ねた。
すると、彼女は答える。
「ガトーが気に入ったからだ」
「ああそうか。で、君はいつ帰るんだ?」
「帰らない。帰る場所もない」
「そうか。なら……なんだ、君はずっと僕の家に居座るつもりか?」
「うん、そうなるな」
「出て行け」
「なぜだ」
そう言って、彼女は初めて僕に表情らしきものを見せた。あまり肉のついていない頬を小さく膨らませ、ほんの少し――凝視してようやくわかるくらい――眉間に『川』の字を作る。
そして、僕がその変化に驚き見とれている間に彼女は口を開く。
「ワタシはキミを知りたいんだ」
聞く人によっては勘違いしてしまうかもしれないこの台詞。
しかし、アリスはそのままの意味で言っているのだろう。恋愛感情とか一切なく、なぜ機械は動くの? という疑問と同じような感覚で。
そう思わせる幼稚さが、彼女にはあった。
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